歯磨きの研磨剤成分

歯磨き粉で一般的に使用されている成分について、もう少し詳しく見ていってみましょう。

 

「無水ケイ酸」

 

シリカとも呼ばれています。硬度が高い(モース硬度7)ことから、汚れを落としやすく、歯磨き粉の研磨剤として非常に多く利用されています。無水ケイ酸の組成元の二酸化ケイ素は、無機ガラスや電球の内側の塗装、断熱材などにも使われています。無水ケイ酸は粘性を持たすことが出来ることから、歯磨き粉の粘結材としても使用されています。虫歯予防として使われるフッ素との相性が良いことも、歯磨き粉によく使われる大きな要因とも言えます。

 

代表的な歯磨き粉:ガム・デンタルペースト、クリニカハミガキ(ライオン)、、システマ(ライオン)、ビュオーラ(花王)、シュミテクトホワイトニング、他多数

 

「重質炭酸カルシウム」

 

メーカーとしては、コスト的なメリットの大きい成分。重質炭酸カルシウムは、モース硬度が3程度なため、研磨剤としては割と安心な部類に入ると言っていいでしょう。

 

代表的な歯磨き粉:ホワイト&ホワイト(ライオン)

 

「リン酸水素カリウム」

 

歯牙汚 れ落としにとても良好と報告されている成分。研磨力が大きいため、歯を傷つけやすい危険があります。単独ではなく、他の基材との組み合わせで使用されることが多いようです。

 

代表的な歯磨き粉:デンタパールW(三宝製薬)

 

「水酸化アルミニウム」

 

水酸化アルミニウムもモース硬度3なので、エナメル質を傷つけにくい研磨剤と言えます。もちろん人体に無害な成分でもあります。

 

代表的な歯磨き粉:ひきしめ生葉(小林製薬)

 

モース硬度とは?

「モース硬度」というのは、鉱物などの硬さの度合いを表した数値です。数値が大きい程、硬いことを意味します。逆に数値が小さいと、柔らかいです。

 

モース硬度には、従来の指標と、新たな修正モース硬度の指標があります。下記は、新しい指標の修正モース硬度を記載しておきます。

 

硬度1:滑石
硬度2:石膏
硬度3:方解石 -炭酸カルシウム
硬度4:蛍石
硬度5:燐灰石 -象牙質
硬度6:正長石 -象牙質
硬度7:溶解石英
硬度8:水晶(石英) -エナメル質、無水ケイ酸
硬度9:トパーズ
硬度10:ガーネット
硬度11:溶解ジルコニア
硬度12:溶解アルミナ
硬度13:炭化ケイ素
硬度14:炭化ホウ素
硬度15:ダイヤモンド

 

詳細については、ウィキペディアの「モース硬度」のページを参照してください。

 

小沢利之氏の「歯磨き用基材」に関する発表によると、歯みがき用基材としては、モース硬度3〜6で、粒子は1〜20μミリが望ましいと述べています。

 

歯の表面のエナメル質が硬度7、エナメル質の内側にある歯の象牙質が硬度5〜6ということを考えると、硬度7以上の研磨剤は論外と言えますね。硬度5以上の研磨剤も正直怖いという印象です。

 

ヌープ硬度とは?

「ヌープ硬度」というのは、モース硬度と同様に、硬度を表す指標です。ちなみに、モース硬度8の石英は、ヌープ硬度では820。モース硬度15のダイヤモンドは、ヌープ硬度で8000となります。

 

歯牙で見ますと、次のようになります(但し資料により若干の数値の違い有り)。

 

象牙質 68HK
エナメル質 355〜431HK以上

 

ヌープ硬度が、硬度に比例した数値でないのに対して、ヌープ硬度は硬度に比例した数値となっているのが特徴とも言えます。ヌープ硬度も、モース硬度とあわせて知っておくといいかもしれませんね。

 

ヌープ硬度の数値は比例することを念頭に数値を見ますと、象牙質はエナメル質の約5分の1の硬さしかないということになりますね。象牙質が剥き出しになってしまっている歯の箇所があったとしたら、かなり気をつけないといけませんね。